2012年11月30日

米国の出生率が過去最低に-移民女性の出産急減などで

米国の出生率が過去最低に-移民女性の出産急減などで

ウォール・ストリート・ジャーナル 11月30日(金)10時26分配信

 米調査会社ピュー・リサーチ・せンタ―が29日発表した報告書によると、近年のリセッション(景気後退)のせいで移民女性の出産が急減し、その結果米国の出生率が過去最低水準に落ち込んでいることが明らかになった。

 それによると、15~44歳の女性の1000人当たりの年間出産数でみた出生率は、2010年には64人と07年比で8%減少した。米国の出生率のピークはベビーブーム時代の1957年の122.7人。

 適法、不法に関わらず外国生まれの移民女性の出生率は米国民全体の比率を依然上回っているが、10年の出産率は07年比14%減の87.8人。このうちヒスパニック移民の出生率は19%減、ヒスパニックの中で最大勢力のメキシコ生まれの移民では23%の大幅減少だった。これに対し、米国生まれの女性では6%減の58.9人となった。

 この報告書の共同著者であるドベラ・コーン氏は、「出生率の低下は移民で大きかった。特にヒスパニックは景気後退で大きな影響を受けた」と述べた。報告書は、国勢局と全米保健統計センター(NCHS)の統計を基に策定された。

 米国の出生率の低下には、経済情勢の他に移民の流入鈍化も影響している。移民の最大の供給源であるメキシコからの移民は、10年には帰国者が多かったため差し引きゼロとなった。

 NCHSの暫定統計によれば、11年の米国全体の出生率は63.2人となった。ただ、移民と米国生まれの内訳はまだ明らかになっていない。米国の出生率は、これまでも1930年代の大恐慌や70年代の石油ショックの時など経済危機に見舞われると低下し、経済が好転すると上昇に転じてきた。

 長期的には、社会が豊かになると出生率は低下をたどり、その傾向が続くと繁栄を脅かすようになる。出生率の低下と死亡率の低下が重なると日欧諸国のように高齢化社会になり、高齢者を支える労働人口が減少する。米国は移民の流入が続いているため、出生率は日欧の水準までは低下していない。

 米国の人口動態は移民の流入により変化してきたが、移民の間の出産率が低下を続ければ、マイノリティーの人口増加は鈍化する可能性がある。人口統計学者の間では現在、2040年ごろには白人の人口は過半数を割り込むと予想されている。

 ピュー・リサーチによると、米国の出生者数は07年に431万6233人と過去最大となった後、景気後退を受けて減少をたどり、10年には07年比で30万人超減少した。米国の総人口のうち移民は13%で、移民女性の出生率は1990年には米国生まれの女性を70%上回っていたが、2010年にはそれが49%となり、移民と米国生まれの出生率の差は縮小している。

 移民女性の出生率が低下しているだけでなく、移民女性の娘たちの出産率はさらに低下している。南カリフォルニア大学の人口学者のドウェル・マイヤーズ氏は、「中南米からの移民が子供を次々に産み我々を圧倒してしまうと心配する人がいるが、実際には彼らの出生率は低下しており、ますます米国の他の母親と同じようになっている」と語る。

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